WWD JAPAN interview 20.01.29

WWDによるインタビュー記事が公開されました。弊社代表がラボグロウンダイヤモンド市場について、そしてプライマルについて語っています。ぜひご覧ください。

合成ダイヤモンドのD2Cジュエリーのトップが語る「ダイヤモンドジュエリーの解放」

以下WWD JAPANより転載。

昨年ジュエリー業界で話題になった合成ダイヤモンドのジュエリーブランド「プライマル(PRMAL)」が2月1日に登場する。合成ダイヤモンドは天然ダイヤモンドと見た目は同じ。構造や組成、特性が同じため、見分けるには特殊な機械が必要だ。価格は天然のものより安価で、採掘による天然ダイヤモンドより環境に優しくエシカルということから注目を浴びている。ジュエリー業界では天然vs合成でいろいろと議論もあり、市場はまだ創成期だ。このような状況下で合成ダイヤモンドに特化したD2Cブランドを立ち上げた福島剛プライマル代表に話を聞いた。

WWD:合成ダイヤモンドのジュエリーブランド「プライマル」を立ち上げたきっかけは?

福島剛プライマル代表(以下、福島):約10年間ジュエリー業界で活動してきた。欧米ではジュエリーは日常に溶け込んでいるが、日本ではまだファッションの次。ダイヤモンドの卸業が家業で、ジュエリーをもっと身近なものにしたい、ダイヤモンドに対する敷居を下げたいと思った。ダイヤモンドの業界は狭く、その中でお互いに持ちつ持たれつでビジネスをしている。まだ中間マージンによるビジネスが中心なので、当然末端価格は高くなる。だから今、注目を浴びているD2Cの仕組みを選べば、投資してもらえるチャンスもあるし、業界の持つ問題を解決できると思い、ITエンジニアの友人と意気投合してブランドを立ち上げた。合成ダイヤモンドは天然のものと構造は同じで価格が安く、エシカルだし、われわれのようなミレニアル世代にとってはベストの商材。なぜなら、われわれの物の考え方は合理的だから。同じ価格であれば、石も大きくてエシカルなものの方がいいと思う。だから合成ダイヤモンドは面白いと思うし、市場で一番を取っていきたい。

WWD:ブランド哲学は?

福島:“未来につながるジュエリー”がコンセプトだ。特に若い世代に、遠い存在だったダイヤモンドジュエリーを解放したい。日本では、ジュエリーは冠婚葬祭やパーティーなど特別な場で着けるものだと思われているが、それぞれのスタイルを大切にし、日常のファッションに取り込んでほしい。インスタグラムなどのSNSを通してジュエリーの背景やストーリーを発信するだけでなく、ファッションコーディネート提案も行っていきたい。ただ発信するだけでなく、消費者とインタラクティブに交流できるようにするつもりだ。

WWD:ターゲットは?それらをどのように獲得するか?

福島:ミレニアル世代がターゲットだ。ウェブサイトでレビューやコメントを書き込めるようにするなど、紹介したくなるような仕組みをつくりたい。また、ブランドに共感してくれる人々と共に成長していくのが理想だ。ブランドに興味のないインフルエンサーを起用しても意味がないと思っている。共感を大切にしていきたい。

WWD:戦略と初年度の売り上げ目標は?

福島:D2Cということもあり、従来の販促方法に頼らず、独自の仕組みをつくるつもりだ。プロダクトとIT(D2Cの仕組み)とを同じポジショニングでブランドを作っていく。モノを作って売るだけでなく、コミュニティーをつくりたい。デビュー時に約60型発売し、毎週新作を投入する。消費者に身近に感じてもらい、飽きさせないためだ。1年に1回ジュエリーを購入していた人が毎月買うようなECにしたい。ジュエリーはシーズン性がないので消費者と接点を持つのが大切。当初は受注生産で3~4週間の納期を見込んでいるが、それを短くしていくつもりだ。自宅で試着できるよう30日間返品や交換に対応し、敷居の高いジュエリー店に行く時間と労力をなくしたい。D2Cビジネスだから可能なウィッシュリストや、閲覧および購入履歴などをデジタルで管理し、無駄なく効率よく運営していくつもりだ。初年度の売り上げ目標は8000万円。6000万円をECで2000万円をポップアップショップで作るつもりだ。

WWD:合成ダイヤモンドの調達はどのように行っているか?

福島:カラットの小さめのものはインドの合成ダイヤモンドメーカーから調達している。ゆくゆくはブライダルなどカラット数の大きいものも作りたいので、アメリカのダイヤモンド・ファウンドリー(DIAMOND FOUNDRY)と契約した。水力発電による製造を行っており信頼度が高い。コストは高くなるが、できるだけエシカルな背景にもこだわりたい。

WWD:現在、合成ダイヤモンドを生産している国は?

福島:アメリカ、インド、中国、ロシア、シンガポールなど。

WWD:合成ダイヤモンドは天然ダイヤモンドよりエシカルというのが売りだが?

福島:天然ダイヤモンド1カラットを採掘するのに排出される二酸化炭素は約64.8kgといわれている。インドでは太陽光発電を使用し製造しているメーカーが多いが、通常の電力を使って製造しても合成なら天然ダイヤモンドの採掘で排出される二酸化炭素量の5~10%程度だ。環境負荷の少ない方法で生産された合成ダイヤモンドはそうでない合成のものと比べて約15~20%高いイメージだ。

WWD:グレードをカラーがG以上、クラリティーをVS2以上にしているのは?

福島:できるだけいいものを届けたいという思いから。また、合成ダイヤモンドの供給がまだ安定していないので、ある程度幅を持たせておく必要がある。

WWD:使用するダイヤモンドの主なカラット数は?

福島:メレダイヤモンドが多いが、0.3カラットや0.5カラットの商品もある。

スタートアップだからできた合成ダイヤモンド市場への参入

WWD:日本における合成ダイヤモンドの市場は?

福島:まだあまり流通していない。調達が安定していないから、ビジネスをスタートさせるのには壁が高いのが事実だ。ジュエリーメーカーも天然と合成が混ざるのを嫌がるし、大手も手を出しにくい。だからチャンスだと見ている。われわれのようなスタートアップだから参入できた。

WWD:10金、18金と2種類のゴールドを使用する理由は?

福島:いろいろな需要に対応したいためだ。価格の面で10金を選ぶ人もいるだろうし、金属アレルギーで18金しか着けられない人もいるから。

WWD:今後日本で合成ダイヤモンドの市場は拡大すると思うか?

福島:確実に拡大するだろう。天然ダイヤモンドより価格が安くエシカルで、見た目は天然ダイヤモンドと変わらないから消費者は関心を持つはず。モルガンスタンレー(MORGAN STANLEY)の調査によると、2016年度の合成ダイヤモンドの市場規模は約150万ドル(約1億6350万円)だが、20年には10億5000万ドル(約1144億)になると予測している。5年以内に市場は約700倍に成長するという見通しだ。今は合成ダイヤモンドを敬遠している卸業者やジュエリ―メーカーもそのうち供給しなければならなくなるだろう。ジュエリー業界自体が合成ダイヤモンドに対する考えを変える必要がある。海外では、イギリスのメーガン・マークル(Meghan Markle)=サセックス公爵夫人や女優のエマ・ワトソン(Emma Watson)などのセレブリティーが合成ダイヤモンドのジュエリーを着用し、認知度が上がっている。日本でもこのようなきっかけがあれば、合成ダイヤモンドの市場は広がっていくはずだ。